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季節のアンソロジー ~四月

2015年4月5

♪汽車を待つ君の横で僕は 時計を気にしてる
  季節外れの雪が降ってる 東京で見る雪はこれが最後ねと
  さみしそうに 君がつぶやく 名残り雪は降るときを知り・・・・♪

いうまでもなくイルカさんが歌う青春抒情の名曲「名残り雪」。
季語にもある「名残の雪」とはいつ降る雪のことか。
これは地域によって異なるだろうが、東京でなら、私の感覚では季節外れの、ということになれば4月に入ってから降る遅い雪だろう。

去りゆく君をしばし立ち止まらされておくれ、と切なく詠んだのは僧正遍正で
「山風に桜吹きまき乱れなむ 花のまぎれに立ちとまるべく」

4月の歌では落とすことができないもう一曲。
パット・ブーンが甘く歌うそのものズバリの「四月の恋」

♪ April love is For the very young
      Every star's  a wishiig star
       That shines for you ・・・ ♪

さらに、さらに イタリアの作曲家・トスティの「四月」が・・・いや、もうやめておこう、この時期を歌った歌には際限がないほどありそうだから・・・。

東京での4月の降雪は滅多にないことだが、花吹雪、桜吹雪なら毎年この時期に確実に舞う・・・当たり前だが・・・。

願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ
あまりにも有名な西行法師が詠んだ一首。
陰暦の如月は新暦では3月下旬から4月の上旬にあたるそうなので、
ここにいう花が桜であることはいうまでもない。
日本の春の主役は古来桜である。
桜には魔性があると言ったのはだれだったか、とにかく人を狂わしいほどに引きつけてやまない。

Dscn4231 花見の定番、千鳥ヶ淵の夜桜。今宵ばかりは月も脇役でしかない。

群がり集う人の中には「酒なくて 何の己が桜かな」とばかり、桜よりお酒の方が酔える、というご仁も少なくない。

その桜も花嵐が吹けば妖しげに落花の舞いをみせて、いまひとたびの命に別れを告げる。

A そこに水面があれば「花筏」がうまれる。 
日本語には紡ぎだされた数々の美しい言葉があるが、これもその一つ。

桜ばかりでなく4月は文字通り百花繚乱の季節。
眺める花に事欠かないが、日当たりのよい場所に咲くこの花はよほど目を凝らして探さないと見つけられない。

A フデリンドウ  A_2 ハルリンドウ
似たもの同士で見分けが難しいが、フデリンドウは一茎にたくさんの花を着けるが、ハルリンドウは一茎一花で区別できる。

Img188 山では雪解けが始り「雪しろ水」で川は溢れる。
氷河は石を削り、流れ出る川は白く濁っている。
氷河を持たない日本の川も北国で雪解けが始りると、川は水嵩(みずかさ)さが増し、白く濁りを帯びてくる。
これを「雪しろ水」とか「雪濁り」などと呼ぶ。

山深み 春ともしらぬ 松の戸に たえだえかかる 雪の玉水
謝野晶子が「古にし御姉」と慕った式子内親王が詠んでいる。
また桜に戻ってしまうが、その晶子にも花見の歌がある。

清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき
~そうか、京都ともなれば花見客もみんな美しいのか、きっと着物姿がそうさせているのだろう。

私の好きな季節の言葉の一つに「春愁」がある。
「春愁秋思」という一対の言葉の半分で、ものみな明るく朗らかな春なのにフッとそこはかとない愁いを感じる瞬間がある。
別離、散る桜、長い黄昏・・・
「春愁を 灯の無き家に 持ち帰る」~品川 鈴子
~そんな気持ちのままに帰宅したこともあったな・・・


音楽の話に戻るが、あのいかついベートーベンはその風貌さながらの意思に満ちた、人類の遺産と呼ぶべき多くの名曲を遺してくれている。

Beethoven
反面、その風貌からは想像しがたい甘く、美しい旋律も同時にたくさん生みだしている。
例えば二つの「ロマンス」、ピアノ協奏曲・第五番「皇帝」の緩徐(第二)楽章、そしてピアノ・ソナタ「熱情」の同じく緩徐楽章などなど、天国的としかいいようのないほど美しい。
その代表とも言えるのがバイオリンソナタ・第五番「春」であろう。
ヘンリック・シェリング、イツァーク・パールマンなど多くの名手の演奏を、お粗末な再生装置で聞くとき、また巡りきた春を実感するのである。
私が最初にこれを聴いたのはもう60年以上昔のこと。
学友から”春は素晴らしいぜ”と聴かされたのは、確かジャック・ティボー演奏のレコードだったろうとおぼろげに記憶している。
その学友との音信が切れてから、もう気が遠くなるほどの時間が流れた。

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コメント

千鳥ヶ淵の桜の画像は美しさを通リ越して凄味を感じますね。
そしてこれは他に類を見ない見事な花筏。。。

若い頃には今ほど桜に興味がもてず、東京の花処を巡るという気を持たなかったのが返す返すも残念でなりません。
用事で出かけたついでで上野の桜を観たのがせめてもの幸いでした。
もっとも若い頃には他に気を取られることがあり過ぎて、本当の意味では花に心を寄せるといっても、今の心境とはとはだいぶ違ったものではなかったか・・・と思うのです。

投稿: おキヨ | 2015年4月 5日 (日) 21時41分

春爛漫の古都の桜も降りしきる雨に行く春を惜しむかのよう
花びらを散らしています。

澄んだ青空に満開の桜を愛でる時、白き花びらの清楚な姿
花吹雪と呼ぶ散り際のよさに日本人に生まれてきて良かったと思わずには居られません。

それにしても花の名所、嵐山や円山公園は占拠されたの如く、
多くの中国人で賑わっています。
桜をバックに着物姿で闊歩する中年の女性や和洋装で結婚式の写真を撮りまくるカップルの姿が嫌でも目に入ります。

爆買、爆花見は数年前までは想像だにしなかった社会現象です。
昔は農協団体、今は中国系が古都に蔓延っているようです。

投稿: かおり | 2015年4月 5日 (日) 23時46分

おキヨ様
桜には精霊が宿っているなどと感じる人もいるようで、一種の妖気を漂わせている雰囲気がありますね。
それもこれもあまりに綺麗すぎるからなんでしょうか。
私も花見には積極的な関心は持たないできました。
なので、都内の桜の名所でも出向いていないところも幾つかあります。
これからは、一期一会のつもりで見残しがないように心がけるつもりです。

投稿: 風花爺さん | 2015年4月 6日 (月) 09時16分

かおり様
最新のブログを拝見してやはり京都ならではと感じたのが、着物姿での花見ですね。
東京では普通の花見では先ず見かけません。
このごろ一段と目立つのは中国からの観光客ですね。
派手に買いまくり、お金を落としていってくれるのですから、個人消費の動きが鈍い日本にとって有り難いことはたしかでしょう。
ただ、時として傍若無人な振る舞いがあり、マナーは決して世界第二位の経済大国のそれではないですね。
もっとも、おっしゃる通り日本人も4~50年前ころは、世界に冠たるノーキョーさんが闊歩して、先進国の顰蹙を買っていたのですから、あまり偉そうにはできなとは思いますが・・・。

投稿: 風花爺さん | 2015年4月 6日 (月) 09時28分

風花さん、こんにちは

「名残り雪」、良い響きですね~ 
千鳥ヶ淵の桜は強風で花筏どころか一気に散った様ですね。最近の気象はやはり異常なのでしょうか? 昨年の初めに降った雪は、春遅い時期のべた雪でした。各地で停電やロープウエイの運休などがありましたが、その後局地的には大雪となりましたが、里はシーズンを通して雪道は1~2度走っただけでした。そして遅れるとの予報であった桜が記録的な早期に開花しています。

投稿: 岳 | 2015年4月 6日 (月) 16時48分

岳様
花の命は短くて・・・東京で待望んでいた開花宣言がでたのが先月の23日でした。
しばしの間、人々に眼福を与えて、足早に散り急いでいます。
長野でも開花が早まるのですか。
満開の桜の背景には、まだ白い衣装をまとった後立山連峰。
そんなシーンがまた岳さんのブログで拝見できるだろうと期待しています。

投稿: 風花爺さん | 2015年4月 6日 (月) 17時22分

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