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きさらぎ(2月)に拾う詞華・アンソロジー

2015年2月10日

少々の訳があって山歩きができない状況にある。
そんな中で45日振りに山荘へいってみた。
これほど長い間、山荘へいかなかったのは15年の間にはなかったことである。
公道は行政によって除雪されているが、除雪対象にならない私道に入れるかどうかがこの時期の気がかりになる。
幸い積雪量がそれほどなくて山荘の前まで車で入れた。

Dscn3895       Dscn3896
この時期としては少なくもなく、多くもなくこんなものでしょう。

さて、時はきさらぎ(如月)~なぜ「きさらぎ」なのかについてはやはり幾つかの説があるが、その詮索はここではパス。

きさらぎの 天のまほらは 花野かな
     差し招く如(ごと)  風花は舞う     
冬道 麻子

風花という詩句が入っているので私の愛唱する一句である。
そして、伊東 静雄にはこんな詩がある。

みささぎにふる はるのゆき
枝透きて あかるき木々に
つもるともえせぬ けはひは   

昔の詩歌で「きさらぎ」と用いられているのは陰暦の2月で、今の暦ではこれは三月にあたる。
従って頭の中で、季節を修正しなければならない。
若山牧水の一首

しみじみと きょう降る雨は きさらぎの
     春のはじめの 雨にあらずや   

なども、この雨を今の2月の雨と考えると、季節感が狂ってしまうが、一雨ごとに暖かくなる3月の雨と思えばそうだよな、となる。


例えば紀貫之の

袖ひちてむすびし水のこほれるを 春立つけふの風やとくらむ
も陰暦の春立つころに修正すれば合点がいく。

同様に、吉丸 一昌が作詞した「早春譜」の
「春は名のみの風の寒さや・・・」なども季ずれを修正しなければなるまい。

八十の 齢を愛し 日脚伸ぶ/冨安 風生~この頃”ずいぶん日が伸びたな~”と実感する日が多い。
昼が一番短いのは冬至であることは小学生でも知っていることだが、日没が一番早いのは12月の上旬(夜明けが一番遅いのは1月上旬)で、4時を過ぎれば昏くなっていた。
12月上旬から一日約1分ほど入日が遅れだし、2ヶ月たったこのごろでは5時を回っても薄明が残る。

脚が伸びるのに並行して光に力が戻ってきているのも感得できる。
ロシアではこれに「光の春」という素敵な呼び名を与えている。
日本などよりもっと厳しい冬を闘っている厳寒の地では、光に春のさきがけを感じるのであろう。

月・雪・花(あるいは雪月花)~昔の諺に「月雪花はいちどには眺められぬ」というのがある。
いいことは都合よく全部揃うことはない、という意味である。
ここでいう花は桜だろうが、これをとにかく花一般とすればこの三つが揃うことはそれほど珍しいことでもない。
今の時期の花なら関東ではさしずめ
蝋梅あたりか。

A        A_2
今、ロウバイは各地で馥郁たる香りを漂わせている。

そしてこのアンソロジーの終わりはやはり「冬来たりなば 春遠からじ」かな・・・。
P・P・シェリーの長い詩「西風の賦」は
  「荒れ狂う西風よ!迸りでる秋の息吹よ!」
で始り
  「冬来たりなば春遠からじ、と今こそ私は叫ぶ!」
と、人口に膾炙(かいしゃ)された詩句で結ばれる。

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コメント

わが家方面から見る赤城山は薄積もりの雪ですがこれがいかにも寒そうです。

山荘周辺、この程度の雪なら雪かきも楽かもしれませんね。
画像を拝見する限りは別天地の美しさです。しかし寒そう^^

朝の陽ざしも少しづつ春に向かっています。
年々春を待ち遠しく思う気持ちが強くなりますね。

投稿: おキヨ | 2015年2月10日 (火) 13時00分

おキヨ様
今、赤城山を埼玉県北から見ると、左端の鍋割山頂の丸い草原が白くなっていません。
雪は少なそうに見えます。
こんな状態でも、実際に山に入るとなかなかの積雪量なんですね。
この冬は山荘で一度も雪かきをしていません。
正直に言ってもうしたくないですね。
従ってこれからは降雪するときは行かない、ということになるだろうと思います。
この写真を撮った時は雪模様だったので、寒々としていますが、ピーカンならば晴れ晴れします。
晴れも曇りも光の演出で印象がまるで違ってきます。
三寒四温~春は行きつ戻りつしながらちょっとづつ近づいてきていますね。

投稿: 風花爺さん | 2015年2月10日 (火) 16時56分

風花さん、こんばんは

随分日脚が伸びて来ましたね。
里には雪のない信州ですが、山の雪は想像以上です。
光に春の先駆けを感じる。昨日訪れた大岡地区でそんな事を考えました。
「冬来たりなば春遠からじ」は季節の事では無いですが、春は間違いなく近づいています。
人も、草木もエネルギーをもらえますね。


投稿: 岳 | 2015年2月11日 (水) 18時15分

岳様
この冬の寒さはなかなか頑固ですが、やがては一足早く春を告げる光によって冬将軍も敗退していくでしょう。
里の雪は少ないようですが、雪解けを迎えるころの信州の躍動感は素晴らしいものですね。
そうですね、シェリーの詩は季節のことではなく、苦難の後には喜びがくると、人の生の歩みをうたったもののようですね。

投稿: 風花爺さん | 2015年2月11日 (水) 20時53分

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