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そして誰もいなくなつた~健さんの旅立ち

2014年11月20日

いかにも月並みな反応だが、18日の二つの大きなニュースには見過ごせない。
山歩きの記事は見送りにして、自身のメモランダムとしてこれを書き残しておかないと次に進めない。

始めは冗談だろうと思っていた・・・衆院の解散をするなんて・・・。
安倍さんの解散の理由を聞いていても、今700億円もの大金をかけて選挙をしなければならないことがどうしても腑に落ちなかった。
消費税を2%増税する時期を1年半先送りするので、その是非を問いたい、と云う。
増税が先に延びるならそれに異を唱える国民は殆どいない。
野党も先送りに賛成だ。
皆が同じ意見なのだから、国会で増税先送りの法案を通せばすむ話なので、別に選挙する理由にはならないだろう。

信を問う、ということならむしろ「集団的自衛権行使を容認する」閣議決定の前にこそするべきであったろう。
安倍さんは間違いなく本当のワケを語っていない。
だからこそマスコミなどがいろいろ忖度(そんたく)して、憶測を語っているのであろう。

私はあえて好意的にみれば、これは財務省に対し安倍さんが見舞ったパンチかも知れない、とも思った。
安倍さんでも霞が関の岩盤は容易に付き崩せない。
官庁の中の官庁といわれる財務省が、増税のために手練手管の限りを尽くしているらしいが、これに対する鞘当て、という見立
てである。
だとすればこれは子供じみた私怨の延長のようで、「郵政民営化」一本やりで、参議院で否決されたら、衆議院を解散した小泉純一郎に気味悪いほど似ている。
あの時、ライオン宰相は「郵政民営化が全ての改革の本丸」と絶叫していたが、民営化実現の結果も冴えないが、他の改革なんて何一つ実現していない。
当時の首相と官房長官の関係だったが、似たもの同士の感が拭えない。

まあ、私のお粗末な推測より、巷間伝えられるように、今総選挙をすれば、先に行ってするより歩留まりが良い、という党利・党略と見るのが当たっているのだろうが・・・。

そんな寒々とした永田町の風景より多くの日本人にはるかに強烈な哀しみを与えたニュースが日本中を駆けめぐった。
不器用で寡黙な一人の男の突然の訃報である。

その男「高倉 健」はストイック、抑制的など日本の伝統的な男の美学を見事に体現していた。

三船敏郎、石原裕次郎と大スター亡き今、最後の巨星も遂に光を失った。
そして、存在そのものが人々に勇気や希望や夢などを与えられる、そんなスターが一人もいなくなってしまった。
~『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティか・・・

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この背中だけで、凡百の政治家が空疎な言葉で語ることを超えたメッセージが伝わってくる。

健さんの立ち居振る舞いから伝わってくる「孤高」とか「ストイック」とか「寡黙」とか「シャイー」などは、実は映像上でつくられたものであることは想像に難くはない。
実像はユーモラスでオシャベリ好きだとも伝えられている。
それでも思いやりや、優しさが比類のない人だったことは多くの人から語られている。

私には男女を問わず、特定の贔屓のスターはいなかった。
ただ一人、健さんを除いては・・・

任侠映画の時代の作品はほとんど観ていないが、任侠路線を卒業してからの名作の数々、「八甲田山」「幸せの黄色いハンカチ」「居酒屋兆治」「遥かなる山の呼び声」「駅STASION)」「鉄道員」などなど繰り返し見ている。
黄色いハンカチの、映画史に残るあの名シーンーーたくさんの黄色いハンカチが翩翻(へんぽん)と風に翻っている--は何度観てもウルウルになってしまう。

A
遺作になってしまった「あなたへ」の時にはさすがに風貌から精悍さは消えていたが、チノパンに、目深にキャップを被った定番の体形は変わることなく、健さんの新たな境地が開かれることをうかがわせていた。
・・・・なのに・・・・・

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コメント

政治の解散劇、もともと政治に疎い私は当然、関心のある方、かなりお詳しい方なども首をかしげる安倍さんの今回の決断は本当に計りかねます。

その人間象が如実に表れるのは、その人物がこの世を去る時とききまが本当ですね。

多くを語ることなく、これほど人々の心をとらえる人もそうはいません。一俳優の域を越した人間の良心がうかびあがります。

投稿: おキヨ | 2014年11月20日 (木) 12時26分

おキヨ様
つくづく政治の劣化には愛想がつきます。
消費税増税とセットで実行するはずだった議員定数削減も一向に進みません。
自分たちの痛みになることは与野党が馴れ合いで、意図的に話がまとまらないように茶番劇を演じているとしか見えません。
そこへいくと健さんには称える言葉が見つからないほどです。
ご本人は与えられた役を演じているだけかもしれwませんが、観る側の心をこれほど清々しく浄化してくれる俳優はそうそう居るものではありません。
新作こそもう観ることはできませんが、幸い205本ほどの作品が遺されています。
その中で健さんは永遠に生き続けてくれていますね。

投稿: 風花爺さん | 2014年11月20日 (木) 13時07分


風花さん 、こんばんは
政治家は皆さん同じ、何も変わりませんね。自分の事がすべてです。定数削減など本音ではとんでも無い事でしょう。この国が変わるのは、本当の痛みを知ってからではないでしょうか?
若い頃から高倉健さんの任侠物など殆んどを見て来ましたが、全てが正義であり男でした。私生活でも義と情を全うした生き様は崇拝に値します。自分の職業を選ぶ時、自分にはこれしかない。そんな生き方も自分とダブっています。毎年善光寺参りに来ていました。

投稿: 岳 | 2014年11月20日 (木) 19時57分

岳様
約束を反故にすることに何ら恥を感じない政治家には、是非、健さんの爪の垢を煎じて飲んでいただきたいものです。
健さんのようなほんものの思いやりが、政治家一人一人にあれば、政治風土は全く別なものになっているでしょう。
しかし、これまで期待を裏切られ続け、百年河清を待つことに疲れました。
もう政治に何かの幻想を抱くことはやめます。
せめて虚構の世界のことでもいいですから、健さん映画に救いを求めて生きていくことにします。
岳さんはまだお若いですから諦めずに、せいぜいダメな政治家の尻に鞭打ってください。

投稿: 風花爺さん | 2014年11月20日 (木) 20時21分

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