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奥多摩・月夜見山のあたり~風と落ち葉と老婆と

2014年11月15日

奥多摩の御前山と三頭山の間にある「月夜見山」1147mあたりは奥多摩周遊道路の開通でズタズタにされ、見る影もないほどに無残な姿に変わり果てている。
私も長いことその変貌には目を背けて、車で走り抜けるだけだった。
そのために山歩きの空白エリアになっていたものを埋めておきたいのが今日(13日)の目的である。

Static 今日(13日)のトラフィック
実線の終了点のG(ゴール)はバッテリーがご臨終を迎えてしまったために表示されているが、実際にはさらに南下しての本当のゴールがG・藤倉のバス折り返し点である。

Dscn3660 都民の森から歩き始め、森林館のトンネルを潜り鞘口峠へ辿るのが定番だが、今日はその手前で右折して「里の路」なるコースを登った。

Dscn3664 すでに葉を散らした木立の尾根道。
渡る冷たい風は間違いなく冬の空気を運んでくる。

Dscn3666 風張峠辺りから見る飛竜山(左)と三ッ山。

Dscn3667 同じ地点での御前山(左)と大岳山。
この辺りから月夜見山までの間は「奥多摩周遊道路」と離合を繰り返しながら進む。
今日は車の通行量はそれほどの喧騒はないが、山歩きには興ざめを強いられる区間になる。
月夜見山も「名は体を現さない」見本である。
50年前、夜がけで通過して以来になるが、もちろん記憶のかけらも残っていない。

Dscn3677 月夜見第二駐車場から車道から解放され、再び山道歩きに浸れる。

Dscn3678 小河内峠までの緩い尾根歩きは実に気分が良い。
数多い小さな隆起は全て巻いてやり過ごし、その多くは日当たりの良い南面を巻くので、思わず誰はばかることなく悲鳴に近い声を張り上げて歌ってりする。
♪風は友だち 落ち葉は仲間・・・♪ ~チュインガムのデュエットが歌った「風と落葉と旅人」の気分で・・・

ただ侘しいだけの小河内峠を日当たりを求めて南の藤原に向けて下る。
途中にある国指定の文化財「旧小林家」の復元工事の進捗状況を見たいのがこれからの目的。
陣馬尾根を下る途中で屋根が見下ろせたので、怪しげな踏み跡を強引に下ってみたが、どうも2月に見た小林家の様子と違う。
家の前に回ると最奥の一軒家「田倉家」だった。
実はこの旧家も
玉木英幸さんの著書『檜原村から』を読んで以来、訪ねたい家だったので図らずも実現したことになった。
ネットでこの家の上品な夫人に小河内峠への道を尋ねた、という記事を見たが、今日は留守のようである。

Dscn3687 そこから10分ほどの国指定重要文化財・小林家の保存工事の現場では、2月段階から大分進捗し、素人目には外観はほぼ完成しているように見えた。
現場の人に聞くと”まだ外構工事などが残っているので、公開になるのは来年の5月らしい”という返事であった。
ついでに藤倉へ下る未知の道を確認した。
帰って来た言葉の中に、途中おばあさんが一人で住んでいる家の庭先を通る、という説明があった。
そこからの下り道の傾斜の急なことは類を見ないものだった。
幅1m位の簡易舗装道だが油断していると転げ落ちてしまいそうである。
その途中で道から20mほど入ったところに座っている老婆の後ろ姿を見た。
さきほど聞いたお婆さんに違いない。
あんなところで一体何をしているんだろうか?
くれなずんできた晩秋の山村風景を眺めながら来し方行く末を思っているなんてことは考えられない。
その背へ声を掛けようとしたが何となくはばかられた。
少し下るとその家があった。

Dscn3690_2

建物の周囲をガラクタとしか見えないあれこれが埋め尽くしている。
軒下には数えきれないほどの干し柿。
さらに下ると下の方からガアガアという音が次第に近づいてきた。
通り過ぎるのを見るとモノレールだった。
~檜原村では2003年「福祉モノレール」を5系統敷設した。これまで軌道は見ていたが、実際に動いているのを目撃したのはこれが初めてである。

Dscn3691
あの老婆はこれが来るのを待っていたのだろう。
~見たところ荷物らしいものは載っていなかったようだが・・・
それともこれに乗って何かの用足しに下るのだろうか?

それからいうものはあの孤独な後ろ姿が頭から離れなくなった。
こんな不便としか見えない山の奥で、老いた身で一人で暮らす、その日々とはどんなものなのか・・・。
普通に考えれば楽しいとか、楽だとかとは無縁の状況しか思い浮かばない。
それとも、想像力に欠けた私の思い過ごしで、実はそれなりに満ち足りた日々を過ごしているのか。
藤原のバス折り返し場まで歩く私はその思念にとりつかれていた。

私は自分がやっていることを「登山」というのも「山旅」というのもシックリこなくて「山歩き」と称しているが、今日は「山旅」と言いたい気がするのは、孤独感を漂わせていた老婆の後姿のせいだった。
これからも檜原村を巡る山旅を続け、ゆっくりと人の気配を消していくであろうこの村の消長を見届ける山旅を続けてみたいという思いを強くしている。

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