« 『丘の家のジェーン』~もう一つの赤毛のアン | トップページ | 再び倉沢谷 ~またも敗退 »

三代目の『岳人』デビュー

2014年9月2日

雨の止み間を縫ってそこらのチョコチョコした山歩きはしているが、ブログにアップするほどのものがなくて、山ネタのお休みが続く。

登山用品の世界を席巻しつつあるかのように見える「モンベル」が遂に山岳誌の発行も手掛けることになった。

登山関係の雑誌は戦前からいろいろな消長があったが、戦前に誕生した老舗『山と渓谷』に対し、戦後生まれの『岳人』が二分してきた、というのが大きな潮流であろう。

ヤマケイが最大公約数的な層を狙ったのに対し、『岳人』はその上の登山家をターゲットにして、先鋭アルピニストの登攀記録にも重きをおき、日本のアルピニズムの隆盛に貢献してきた。

『岳人』は戦後間もない1947年5月に創刊された。
発刊に携わったのは伊藤洋平ら、京大スキー山岳部の3名であった。
~伊藤洋平は「ナイロンザイル事件」の石岡繁雄のザイルパートナーで「屏風岩中央カンテ」初登攀時に、岩壁の途中で進退窮まった石岡を救出している。

14号以降は中日新聞東京本社(東京新聞)に発行が移り、65年間続け通巻806号をもってバトンをモンベルにつなぐこととなった。

Img126 モンベル・辰野 勇社長が、今年の初め中日新聞から「継続発行が難しく、休刊の可能性もある」と告げられ、瞬時に「・・・モンベルで引き受けましょうか?」と返しそれが実現してしまった、という経緯である。

以来半年足らず短い間で準備を整えたものが、通巻807号、モンベルからの発行第一号のこれである。

Img125
人気の版画家・畦地梅太郎画伯が表紙。
辰野社長が大ファンなのだそうである。

書店で手にした最初の印象が”軽いなー”というものであった。
前号と比べてみたら版型も小さくなっていた。
ページ数も減り、誌面構成に欠かせなかった記事もかなり姿を消した。

誌代も下がったものの、どことなく企業のPR誌のように見えて仕方ない。

Img127 こんなことを書くと身も蓋もないが、届いたばかりの同社のこのカタログの方がお金がかかっているのではないかと、下司のカングリ・・・

ありていに言って、私は畦地梅太郎さんの作品は好みではない。
~これまでの同誌の表紙では辻 まこと作品時代が私には一番よかったように思える~

山岳誌の購入は基本的に止めた私だが、それでも買いたいという魅力があるかどうか、今の段階では即断できない。

雑誌の成否は見た目も大事だが、コンテンツがより重要であることは言うまでもなく、これまで順風満帆で社業を発展させてきた辰野社長が山岳誌つくりにどのような手腕を発揮するか、見守りたいものである。

19日、日本山岳会のルームで、その辰野編集長(社長)のトークがある。
出版を引き継いだ覚悟の程が聞けるだろうと、興味津々である。

|

« 『丘の家のジェーン』~もう一つの赤毛のアン | トップページ | 再び倉沢谷 ~またも敗退 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

風花さん 、こんばんは

先日モンベルのアウトワールドが届き、雑誌岳人の事を知りました。私はモンベルファンですが、岳人にはあまり魅力を感じていませんでしたので、年間購読はしないつもりです。又メンバーズカードも今後継続するか思案中です。

投稿: 岳 | 2014年9月 4日 (木) 17時59分

岳様
OUTWARDの座談会記事は『岳人』と同じものです。
出版物全体がそうなんですが、とりわけ山岳や山岳誌は長いこと苦境にあります。
そんな環境でのリニューアルにもかかわらず、新生『岳人』の前途は厳しいものになるだろうと思われます。
モンベルは年会費がけっこう高いですから、ある程度消費しないと会費の元がとれませんね。
セコイようですが、私もこれからどれだけの買い物をするかを考えて、継続するかどうかの判断をするつもりです。

投稿: 風花爺さん | 2014年9月 4日 (木) 20時07分

風花爺さん、こんばんは。

岳さんに同じく、私もモンベルのOUTWARDを読んだら、
いろんな雑誌編集長の座談会が載っていて
興味深く読みました。
(一番おもしろかったかも)

その中でカタログ的ではなく、読み物としての雑誌・・・みたいなことを言っていて、なんだか期待できそうだぞ~
と思っていましたが。

どの山岳誌も内容がマンネリ化してきていて、パラパラ立ち読みする程度になってしまいました(^^;


投稿: rommy | 2014年9月 6日 (土) 19時29分

rommy様
『岳人』は「山と広告」と揶揄される『山と渓谷』に比べ、山岳誌としての創刊以来の矜持が保たれていて、私としてはシンパシーを感じていたのですが、その路線が営業的には苦戦を強いられることにつながったのではないでしょうか。
新生『岳人』の奮起を祈りますが、格調が低下しているように思えていて、心配です。
27日にモンベル辰野社長のトークが日本山岳会で聴けるので、出席するつもりでいます。
山岳誌は一年一巡りすると次からは同じ季節の順繰りになるので、何年かするとどうしても記事がマンネリ化して読者に飽きられますね。
これは山岳誌の宿命ですね。

投稿: 風花爺さん | 2014年9月 6日 (土) 20時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/393418/57247671

この記事へのトラックバック一覧です: 三代目の『岳人』デビュー:

« 『丘の家のジェーン』~もう一つの赤毛のアン | トップページ | 再び倉沢谷 ~またも敗退 »