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日向倉山~到達できなかったが大満足

2014年5月5日

日向倉山?~そりゃ、一体どこの馬の骨ジャイ?
そんな突っ込みが入るのもむりはない。
登山道の無い山だから・・・
新潟県には登山道(夏道)が無いので登山対象としては紹介されていないが、残雪期なら猛烈な藪を漕がずに、快適に雪上歩きで山頂に立てる山が揃っているらしい。
奥只見湖・銀山平の北側にある「日向倉山」1431mもそうした山の一つで、私は『岳人』誌の2008年5月号で一応目にはしていた。
最近になって何となく思い出し、ネットを漁って見て仰天した。
スゲェー!
荒沢岳を目の前にして、魚沼(越後)駒や中ノ岳の豪壮な眺めが目の前にドカーンとばかりに展開しているではないか。
自分の目で一目見ておきたい・・・。
ならばルートの残雪が消える前に早く行かなくてはならない。
いつ行く?~今でしょう!・・・というのが4日のこと。
高速料金の割引制が縮小されて、休日しか適用がない。
その休日だし、天気は良いし、雪解けもまだ最後の機会を残していてくれるだろうし・・・

小出ICを出て「奥只見シルバーライン」に入るのだが、この道はあまり走りたくない。
狭くて、暗くて、曲がりくねっていて、路面がゴツゴツしていて、トンネル内なのに雨が降っているような漏水など高齢ドライバーには試されるドライブを強いられる。

Dscn2881 越後駒~シルバーラインの途中で。

久し振りに銀山平に出て日向倉山の登り口になる「白光橋」の手前のスペースに駐車。
先着3台。
10本アイゼン、ピッケル、一本ストックといういでたちでスタート。
何かの建屋の裏から取り付くことになっているが、雪の壁みたいである。
左(西)の方の尾根がまだ緩そうに見えたので、そちらから取り付こうと進んだが、崩落があって阻まれた。
戻ってとにかくこの急な、尾根の末端を登るしかないと決める。
できるだけ傾斜を緩めるため、ジグザグを切って支尾根に乗った。

Dscn2883 背中に常に荒沢岳の目が光っている。

傾斜はいくらか緩んだものの、それでも相当な斜度を保ったままの雪の尾根をひたすら登る。
先行者の新しいトレースは無いが、雪面が締まっているので有りがたい。

Dscn2884 雪庇の亀裂などで雪面が荒れた急な雪稜。

荒沢岳はハナから見えているが、登るにつれて越後駒と中ノ岳が見えてくる。
これが見たさにやってきたので、早くもこれだけでもいいや!という気になっている。

Dscn2887

かなり息が上がって、最後の雪壁を登り主稜線に出た。

Dscn2889
ここまでに1時間半を要している。
ガイド記事では1時間15分とあるから、やはり鈍行である。
日向倉山頂まではもう急な登りはなくて、1時間半となっている。

Dscn2890 長い両翼を持つ荒沢岳(左)、中ノ岳(中央)と越後駒ヶ岳(右)と、バンザイ!と叫びたくなる豪快な眺望だ。
荒沢岳山頂の真下に黒々とした部分がある。
あまりに急峻なため雪が着かない前嵓の岩場だろう。
今の段階なら北アルプスにもひけをとらない。

広い雪稜を右側の雪庇に乗らないよう注意して日向倉の方へ向かう。

北には馴染みの薄い未丈ヶ岳も見えてくる。

Dscn2894 左が未丈ヶ岳、右端が日向倉山、中は無名峰。
これでもう十分だ ~ここまで来た甲斐は十分あった。
充たされた思いで日向倉山頂への執心は跡形もなく消えた。

Dscn2897 広い雪の尾根に点在するブナ ~春を告げる根回り穴が開いている。

Dscn2905 越後駒の右奥に八海山も覗いている。

Dscn2904 中間点の1196m標高点で昼食 ~モネ(あるいはマネ)の「草上の昼食」ならぬ「雪上の昼食」か。
温(ぬく)い雪の上で、絶景を目の前にして、心地よい微風に吹かれながらなら、コンビニ弁当だって十分にご馳走になる。

来た方向にある赤崩山と思われる山頂に人影らしいのが見えた。
しかし、これが全く動かない・・・岩か?やけに気にかかる。
往路を戻り、下降点まできたがあの岩か、人かの疑念をそのままには下りられない。
確かめに行こう。
スイスのシルバーホルンを思い出させる真っ白なピークを超えたその先の頂にやはり人がいた。
黒く日焼けして、見るからに雪山を遊びつくしている風貌である。
こちらはこの辺りにはビギナーなのでいろいろ教えを乞うことができ幸いだった。

別の下降ルートがあってそこをショートスキーで滑降するそうだ。
見たところ「鵯(ひよどり)越えの逆落とし」で、歩いて降りても大変そうなのに・・・。
半袖の軽装で、登山靴ながらアイゼンは着けていない。
ブラッとお気に入りの頂に立ち、そこでボーッと何もしないで数時間を過ごす・・・これぞ私など足元にも及ばない山遊びの達人である。
ガツガツ頂だけを目指す人間の精神の貧困さよ。

別れの言葉を交わして下りることとした。
下降点の壁に来ると4人のパーティが先に下降を始めていた

Dscn2911

途中で追い越し、最後の尾根末端の壁に来た。
ピッケルを深く刺し、確保しながら降りているつもりだったが、途中でスリップ。
数本の細い木に当たりながら4~5mほど滑落して止まった。
腕などに数箇所の打撲や擦過傷を負った。
下は平なので大事に至ることにはならない場所とはいえ、不注意のそしりは免れまい。
急傾斜なのに前向きに下りたが、ここは慎重にクライムダウンのポジションを取るべきであった。

とは言え、シーズンの最後で念願を果たし、苦手のシルバーラインも鼻歌交じりで?走り抜けた。

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コメント

風花さん 、おはようございます。

最高の山歩き、そして絶景ですね!良い所を探し当てました。 私もこんな山が大好きなんです。こちらにも里山で雪の時期以外は登れない山がありますので、行ってみたくなりました。いくら気を付けていても、転倒や怪我はありますね。数えきれません。

投稿: | 2014年5月 6日 (火) 09時37分

さすが上越の山ですね!5月でこの雪の多さ。。。今年は特別でしょうか。

信濃の大将の映像とはまた一味違う風景ですね。
ぬくぬくと居ながらに拝見するのは申し訳のないような風景です。

投稿: おキヨ | 2014年5月 6日 (火) 11時08分

岳様
この連休中の山岳遭難では、やはり残雪期なので滑落によるものが多いですね。
遭難にまでは至らないものの滑落、転倒などは数え切れないほどの数になっていることは容易に想像できます。
たまたま運が良くて何事も起きないで済んでしまったことは、教訓にしなければならないのですが、一過性で終わってしまうものですね。
まだまだ探せばいくらでも魅力を秘めた山があるのでしょうが、私はそろそろ時間切れになってしまいます。
それまでの間、自分で得心のいく山歩きを続けてみます。

投稿: 風花爺さん | 2014年5月 6日 (火) 19時05分

おキヨ様
新潟や東北の山は降雪量が多いので、今頃くらいまでは北アルプスにも負けないくらいの景観が見られます。
お陰で私ごとき軟弱者でも何とかそのおこぼれにあずかれます。
ただ標高が低いので、その分雪解けが早く、これからは夏姿に急ピッチで装いを変えていくので時期を逸するおそれがあります。
山頂に達することができなくても、十二分に満足が得られる山歩きもあります。
これも年の功なのかもしれません。

投稿: 風花爺さん | 2014年5月 6日 (火) 19時14分

こちらは初夏のシャクナゲ詣でに勤しんでいるかと思えば

風花さまは、雄大な残雪を頂く、越後の山にお出かけ
羨ましき限りどす。
越後三山の白銀抱く峰々の絶景に接して風花様ならずとも、溜息が溢れます。

山々を仰ぎながらのコンビニ定食、さぞや美味だったのでは・・・。
山頂は踏めなくても、この絶景至福の一時だったことでしょう。
やはり日本は広いですね~

投稿: かおり | 2014年5月 7日 (水) 17時59分

かおり様
日本は広い! ~その通りですね。
シャクナゲが艶やかに妍を競う山があると思えば、まだモノトーンの山も残っている・・・それだけ多様な楽しみができますね。
会越(かいえつ=会津と越後)あたりの山々は標高は高くないのですが、手強いのが多くて、足が向きにくいのです。
腰をあげればそんなに遠隔地でもないし、馴染みのない分、新鮮でもあるのです。
残雪期になると、毎年会越への関心は高まるのですが、あちこちいろいろ目移りするものですから、そうこうしてるうちに適期が過ぎてしまったりで、うまくいきません。
そうではあれ、どんな形であっても山歩きは楽しい限りです。
この充たされる思いは他の行為では得られませんね。

投稿: 風花爺さん | 2014年5月 7日 (水) 20時16分

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