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「風立ちぬ」三題

2013年7月25日

アニメ映画の巨峰・宮崎駿監督の新作「風立ちぬ」の前評判が高いようです。
あの名作『風立ちぬ』と何か関係があるのでしょうか?
A新聞(20日付け)の監督インタビュー記事からは、その間の事情は解き明かされていませんでした。

風が起こる!
生きてみなければならない
広大な風が私の本を開き
また閉じる

                 海辺の墓地/ポール・ヴァレリー

ヴァレリーの詩「風立ちぬ いざ生きめやも」を傍題にした堀 辰雄の『風立ちぬ』は私が文学書を手にし始めたころに出合った作品で、未だにここから卒業できないまま、時おり数ページを読み返したりします。

Img286 物語のヒロイン・矢野綾子
結核に罹病した二人は、ともに富士見の高原サナトリュームにはいり、療養生活をしながら、堀のいう、風変わりな愛を交わすのですが、綾子は還らぬ人となります。

堀 辰雄とは無関係ですが、松田聖子が歌った「風立ちぬ」
♪風たちぬ 今はもう秋 今日から私は 心の旅人・・・♪
子供たちがアイドルに関心を持ち、私がスッカリおじさんになっていたころ、TV画面に彼女の姿が現れない日はないかのようでした。
爽やかな一陣の秋風が吹き抜けていくようなこの曲は、好きでも嫌いでもなかった、要するに関心の埒外だった彼女の歌の中では、唯一”悪くないな”と思えた曲でした。

Photo 秋風には白樺林がお似合いです。

この20日、宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」が公開になりました。

Photo_2
あの伝説の名機「零戦」(ゼロ式戦闘機)の設計者・堀越二郎を主人公とし『風立ちぬ』をラップさせた作品だそうです。
太平洋戦争の中盤から投入された零戦は、陸軍の「一式戦闘機(通称隼)と双璧をなす名機で、その高性能で一時は制空権を握っていました。

 

アメリカの航空博物館にある現存するただ一機の零戦

Photo_3 今、所沢の航空基地で展示されているようです。
灰田勝彦が歌う「加藤隼戦闘隊」を聞くと、理屈抜きに無邪気な軍国少年だった昔に帰り、血が沸き立ってしまいます。

さすがに宮崎作品では軍歌は使いません。
主題歌はユーミンの「ひこうき雲」だそうです。
♪空に憧れて 空をかけてゆく
    あの子の命は ひこうき雲 ♪

Photo_4

このメルヘンティックな歌は空への夢を掛けた堀越少年の心情にピッタリに思えます。
辛口の団伊玖麿さんも『好きな歌・嫌いな歌』の中で、珍しく褒めていますね・・・。

帰京したら『風立ちぬ』とどう重なり合うのか、何をおいても観に行かなくてはなりませんね。

戻り梅雨で、山荘は漂う霧に包まれ足止めを食っているのを幸い、とりとめなく綴りました。

文字通り雑草がわがもの顔にはびこっている草庵の庭では、山百合だけが不釣合いなほどの大きな花を咲かせています。

Dscn1362

残念ながら艶冶(えんや)な香りをお届けできません。
・・・なんとかなりませんか・・・・?

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コメント

私が堀辰雄の原作〔風立ちぬ〕を読んだのはだいぶ後になってからで、その前には思春期時代の少女雑誌などに掲載されていたものを断片的に読んだ記憶があります。
矢野綾子の写真をみると〔美人薄命〕という言葉につながりますね。
アニメという分野にはなじみが薄いのですが、大人一人が観に行ってもいい仕上がりの映画のようですね。
映画を観たい気がしています。。


山荘の山百合の見事なこと。。。
湿った空気に花の妖気が感じられます。


投稿: おキヨ | 2013年7月26日 (金) 11時59分

おキヨ様
美人薄命は遠い昔のことで、もう言葉そのものを知らない人が多数なんでしょうね。
数字的な根拠は知りませんが、薄命の大きな理由は結核ではないかと思います。
何故か美人が侵される結核を制圧して(いや、ドッコイ生きているようですが・・・)から美人は薄命でなくなりました。
そして今や美人も、それなりの人も、おしなべて長命になり、女性の平均寿命86・4歳で再び世界一になりましたね。

宮崎駿作品は「風の谷のナウシカ」以来おおむね観ています。
私には鑑賞に耐えるものですが、それはとりも直さず私のレベルが低い、ということの証かも知れません。

投稿: 風花爺さん | 2013年7月26日 (金) 18時30分

白樺林…東山魁夷さんの絵のようです。
山荘の山ゆりはカサブランカほどもある大きさにみえますね。背景の木の美しいこと、この写真は小説「風立ちぬ」の一場面のようです。山ゆりの香りがどこからか庭に漂い、薄い霧が流れるようなシーン。

「風立ちぬ」は高校一年の時に初めて読みました。
それから長い時間が過ぎて、思い出したように読んだこともありましたが、今は書棚のどこかに埋もれています。
私が生まれる前のこと、戦争中に伯父、伯母は結核で若くして亡くなっています。父も軽くかかったことがあるようで、結核はそう遠いお話ではありませんでした。
今も、「結核性関節炎」の研究と治療を続けている人が、幼馴染の中にいます。

アニメの「風立ちぬ」に、堀辰雄の小説がどのように関わっているのか…たいへん気になります。
もし、風花様がご覧になりましたら、ぜひご感想をUPしてください。

「風立ちぬ いざ生きめやも」…小説では効果的印象的に使われていました。
「とどろく海辺の 妻の墓」…ぼんやりと連想しましたが、この詩句を使った他の作家の小説もありましたような…。

投稿: 淡雪 | 2013年8月 1日 (木) 12時59分

淡雪様
結核はペニシリンという特効薬が使われるようになるまでは不治の病とされ、恐れられていました。
空気感染するということで、病人のいる家は遠回りして避けるというようなこともしていましたね。
根絶したと思われていた結核が実はそうではないようですね。
耐性を持った結核菌が蔓延するようなことになるとしたら由々しき事態ですね。

「とどろく海辺の 妻の墓」・・・・・・この一節については私は思い当たるものがありません。

山百合は体に不釣り合いなほど花が大きく、夕暮れ時には芳香を漂わせます。
数株植えた程度だったのが年毎に殖えて、庭のアチコチに点在しています。

アニメ映画の「風立ちぬ」は観ました。
構成にやや難解な点がありますが、明日にでも寸感をアップいたします。

投稿: 風花爺さん | 2013年8月 1日 (木) 16時38分

「風立ちぬ」……海辺の墓地/ポール・ヴァレリー

海辺の墓地から、「とどろく海辺の 妻の墓」を連想したのだと思います。
こちらはエドガー・アラン・ポーの、「アナベル・リー」という詩の最後の一節です。

すみません。連想ゲームのようにとめどなくなってしまうのは、私の悪い癖です。

投稿: 淡雪 | 2013年8月 1日 (木) 17時06分

淡雪様
一つ勉強になりました。
名詩、名歌、名句などもたくさんあるので、死ぬまで巡り会えないで終わることは悔しいですね。
それからそれへと、脈絡なく連想する癖は私にもあります。

投稿: 風花爺さん | 2013年8月 1日 (木) 20時29分

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