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引っ張り上げられて~浅間・前掛山

2013年7月4日

浅間山に登ったのは1957・6・5のことだから56年前になる。
当時は現在のような登山規制はなく、東の峰の茶屋から山頂へ登り、西側の火山館に下り、延々と小諸駅まで10時間近く歩いている。

富士山と同じで、登る山としては興趣に欠けるので、それっきりで再び登る対象としては全く念頭に無かったが、あることがキッカケになり、不意にもう一度登ってみなくてはならない、という気が湧いてきた。
それは私たち山歩きの会の畏敬する先輩Uさんが、昨年80歳という年齢にもかかわらず、見事1100mを超える標高差をクリアして登頂した、ということに痛く感嘆させられたことである。
”参ったなー”
いや、貧しい心根を正直に晒せば、感嘆ばかりしていられない”オレも負けちゃーいられないゾ”という不純な動機に取り付かれてしまったのである。

~現在、浅間山の本峰2568mは登山禁止になっているため外輪の「前掛山2524mをもって浅間山に登った」こととされている~

天候の塩梅などでなかなか機会を掴めないでいたが、スタンバイ状態に嫌気がさし、2日、怪しげな空模様だが強行することとした。

Static_2 今日の行程~往復なので山頂がG(ゴール)になっている。

珍しく山荘を早立ちしたので登山口の浅間山荘・天狗温泉を7:50にスタートできた。
不動滝を通過して火山館までは標準タイムを短縮するほど順調に登ってきた。
浅間サンライン走行中には、一時雲が消えて、浅間山がソックリ現れたのに、今はまた厚い雲に閉ざされている。
カンカン照りつけられるよりましかもしれないが・・・。

Dscn1246_3 晴れていれば「牙山(ぎっぱやま)」が見える辺りだが・・・

Dscn1251_2 火山館を過ぎるとガスが晴れ黒斑山が見えてくる。
この黒斑山の連なりが形成する外輪尾根と浅間山との間に広がる緑野は「湯の平」と呼ばれ、天上の桃源郷を思わせる別天地であった。
今は、落葉松が成長して森林化への道をた急いでいるようである。

Dscn1252_2 これから辿る前掛山への稜線も見える。
しかし、牧歌的な湯の平高原を通り抜け、Jバンドへの分岐を過ぎたころから再びガスに包まれ、火山礫の胸突の急坂に差し掛かったところで急速にピッチが落ちてきた。

Dscn1253_2 濃霧の火山礫を登る。
標高差400m近いここの登りがが本日の正念場になることは分かっていて、それなりに自らを叱咤して取り組んではみたものの、疲労は正直に出る。
とにかくジックリ足を前に前にと運ぶしかない。
霧の中から黒い人影が現れては私を追い越していく。
この道に終わりはあるのか?
前方の霧が晴れ明るくなると、そこがそこから先は立ち入り禁止の地点であった。
これで難関は突破できた。
どうするつもりなのか、ロープを潜り直進する姿も見る。
浅間山本峰をめざすのだろうか?

善良な小市民である私は注意書きに素直に従い右折し、目下、仮に浅間の頂上とされている前掛山に向かう。

Dscn1254 2つのシェルターは56年前そのままだが、さすがに劣化は隠せない。
前掛までは緩い稜線になり、楽なはずだが、足がふらつくほど疲れが極まっている。

Dscn1260 それでもどうにか前掛山頂に登り着いた。
スタートしてから3:55、休憩を除く実動で3:40.
標準的に利用されている昭文社地図の4:10を30分短縮はできている。
私としては上出来だが、欲を言えばもう少し余裕が欲しい。
とにもかくにも私が今ここに立っていられるのは、Uさんが私をここまで引っ張り上げてくれた、そのお陰なのである。

Dscn1261_2 今は行けない浅間本峰2568m~ロープを潜って行った人たちはあそこが狙いなのだろう。

足取りは重いが後は下るだけ。

Dscn1266_2 帰路での牙山

Dscn1267_2 一群のレンゲツツジ

Dscn1268 うろこ雲が出たりして・・・

昨夏、数回の転倒での怪我が引き金になり、説明し難い体調不良に陥り、永らく自信喪失気味になっていた。
今日でそれを克服したとまではいえないが、もう暫くは山歩きの楽しみを続けられる、その成算は持てたことは確かである。

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コメント

半世紀ぶりの浅間山登山おめでとうございます。
謙虚なことをおっしゃっていますが、2568メートル〔この数字は覚えやすく忘れませんね~~〕の浅間山征服はやはり快挙だと思います。

聞いてはいましたが画像で拝見する頂上付近の殺伐たる風景は浅間の秘めた恐ろしさを物語っていますね。
昔は火口まで登れたようですが、自殺者防止のために禁止になったと聞いたことがあります。

遠望が望めなくて残念という気もしますが、日差しの強い日和は登る方にとって好都合だったかもしれませんね。。。

優美な稜線を誇る浅間山の実態は・・・美女の思わぬ内面を覗く感がしないでもないですね。。。^^

投稿: おキヨ | 2013年7月 7日 (日) 13時14分

おキヨ様
私が最初に登った時には火口をのぞくことができました。
ただし、蒸気がもうもうと立ち込めているので、火口を見るということにはならなかったのです。
今の登山規制は噴火の危険によるためでして、危険レベルが高いと「前掛山」にも登れません。
ここ数年は少し落ち着いているので前掛までは入って良い、とされています。
それでも注意勧告を無視して本峰まで行く登山者がいるのですね。
自己責任の世界です。
たまたま噴火が起きないので結果オーライになり、それがまた次の無視につながっていくのが現状のようです。
自殺志願ですか・・・?
もし、そのつもりで苦労して火口の縁まで登ったとしたら、そこまで到達した自分の生きる力に思い至り、自殺しようという気持ちは消えてしまうことになりそうですね。

投稿: 風花爺さん | 2013年7月 8日 (月) 09時02分

厳しい暑さが続いています。

半世紀ぶりに浅間山、前掛山に登られたのですネ
私の2,5倍近い輝かしい山歴に今も現役でご活躍
いつも感服される文章力もさることながら山に対時する人一倍の思い入れや
情熱には太刀打ち出来そうもありません。

黒斑山など前衛を従えた浅間山は遠くからだと
富士山同様、優美な山容なのに
実際登って観ると岩がゴロゴロした荒涼たる世界に
今更ながら火山であることが実感されました。

お写真を拝見していると
牙山も惚れ惚れした見事な岩山ですネ・・・。


投稿: かおり | 2013年7月 8日 (月) 18時45分

かおり様
梅雨明けとともにやってきた酷暑。
京都も半端fではないでしょうね。

幸か不幸か往生際が悪いので、いつまでズルズルと山歩きを引きずっていて、気が付けば長い歳月が積み重なってしまいました。
なまじ、まだ幾らかは歩けるので引け際の踏ん切りをいつつけられるのか・・・。
今回は一つの動機づけがあったので、自分に鞭打つことができました。
手強い山は何となく登るのではなく、執念に支えられることが必要ですね。

浅間山は富士山タイプですから夜目遠目にはいかにも「芙蓉の人」らしく麗人ですが、傍に寄れば月面状態です。
富士と違うのは周囲をトーミの頭、鋸山、牙山など個性的な奇峰が囲んでいるので、写真的には変化に富んでいます。
季節を変えてそこらも再び訪ねてみたいものです。

投稿: 風花爺さん | 2013年7月 8日 (月) 20時31分

こんにちは

前掛山を往復されれば、私より体力は上でしょう!
登山禁止にもかかわらず、毎回頂上にいる人を見ます。雪の黒斑山に行った翌週に噴火、観測カメラが直撃されていました。
気をつけて欲しいものです。下りでの転倒、私も経験が多いのですが、気をつけたいですね。

投稿: | 2013年7月10日 (水) 17時18分

岳様
岳さんより体力が上?
とんでもないことです。
岳さんの足が完全復活したら、比較するのも愚かなことになるでしょう。
山歩きは競争ではないですから、誰かと張り合うというような動機で登るのは感心したことではありません。
自分の力量に合った範囲でむりなく楽しむべきものでしょうね。
以上は自戒を込めての反省です。

投稿: 風花爺さん | 2013年7月11日 (木) 06時44分

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