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「けんか」の思い出

2013年3月24日


カーラジオを聞いていたら”近ごろガキ同士がケンカする話はあまり聞かないね”と某大竹氏が言っていた。
~よけいなお世話だが、ラジオのトーク番組には、本人たち以外には面白くもなんともない身辺ネタや、仲間内だけにしか通じない話題などが多くて、自分たちは面白のかもしれないが、リスナーとしては”かんけいね~ヨ”と言いたくなることが昨今特に耳につく。
なにかにつけ「電波は公共物」とメディア自身が自分の立場を擁護する言い方をするのだから、こんな風な私的な使い方って許されるのだろうか?

それはともあれ、子供がケンカをしなくなったという指摘は的を射ていると思う。
よってたかって一人をいじめる、体罰を加える、などこれらは圧倒的な強者が抵抗する術を持たない弱者を一方的に陰湿な暴行であってケンカとは異質のものである。
「ケンカ」とはおおむね力が拮抗する両者が、およそ対等の立場で、どちらが強いかの決着をつけようとする行為でけっこうカラッと明るいものである。

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これは1対1の決闘から、軍と軍とのたたかいでも同じで、それは勝つための計略は巡らすが、正々堂々と渡り合う、という基本は外していいないことに美学があった。
昔の学校では、多分どこにでもあったことだろうが、同学年で群雄割拠の状態から、ボス同士のケンカ・対決を繰り返し、次第に一人に収斂し、最後にサル山のボス然として君臨する。
私の小学校時代、頂点にたったOの誕生もそうだった。
そのボスは三白眼の見るからに怖そうで、誰もがそいつとはできるだけ目が合わないよう避けていた。
私はけっこう付き合いがあったが・・・)

10年ほどまえの同窓会で、隣に見るからに好々爺然とした、しかし誰かが分からない男と隣合わせになった。
言葉を交わして正体が明らかになったが、その彼こそかつて250人ほどいた同級生の上に君臨していた、腕力系のトップだったO君だった。

私は生来、ワンパク小僧の武闘派ではないのでただ一度の例外を除いて、生まれてこのかた腕力を振るう一対一のケンカをしたことがない。~地域ごとに番長を頂点にした集団があり、その集団同士で日が暮れてから秘かに激突?する諍いはときどき起こり、私も戦士?の一人として参加した。

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ただ一度の例外というのがたしか国民学校4年生位の時のできごとである。
一学年下にTという腕白がいた。
家業が自転車屋で、男兄弟の末弟だったように思う。
この兄弟がそれぞれ荒っぽい気性で界隈を睥睨(へいげい)し、彼もその血筋を引いていて、小さいころからいっぱしのボス気取りで肩で風を切っていた。

何が理由でそうなったのかは忘れたが、あるころから私が優位に立っていて、調子に乗って何かにつけてかさにかかって彼を押さえつけていた(~ようだった~)。
あるとき例によって、私が彼にネチネチと挑発的な言いがかりをつけていたのだろう、とうとう彼の忍耐が切れて”そんならやるか”と挑発に乗ってきた。
私としては想定外の成り行きになったが、自分が仕掛けた以上、逃げるわけにはいかない。

どういう意味なのか分からないまま使っていたが、そのころ1対1でケンカすることを「ゴロをまく」と言っていたが「イチゴロをまく」仕儀となったのだ。
始めはシャドーボクシングのようなものだった。
子供同士のケンカは、相手の体に当ててないけない、という暗黙のルールがあった。
それが、当てるつもりは無かったのだが、はずみで私の右拳が彼の顔を打ってしまった。
これは反則行為である。
それがキッカケになり、それまでの多少はあった遊び心がプッチリ切れてホンキのケンカになってしまった。
上になり下になりの取っ組み合いになり、二人とも土まみれ。
どちらが勝ったかの決着がつかないまま、やがて仲裁が入り終わった。

いわば引き分けだったのだが、客観的に見れば反則を犯した私が劣勢だったと思う。
その時から彼と私の力関係は微妙に変わった。
彼はそれまでに忍従を捨て、私と対等以上の振る舞いをするようになり、勝てなかった私は彼に一歩を譲るような気持ちにとらわれるようになった。

彼が今でもそれを覚えているかどうか、その後、進む道も大きく離れ、絶えて久しく話をする機会がない。
~と、いうより今は彼の生死すらも知らないのである。

70年近い昔のことなのに、この出来事は、私の脳裏にある種の悔恨、あるいはホロ苦さを伴って刻まれている。
人は誰でも、滅多に経験しないことは良く覚えているが、日常の延長線上のことはただ消費されるだけで記憶の襞(ひだ)には刻まれることはない。

~それが何よりの証拠には、私はたった一度しか経験していないこのケンカと「ケッコン式」のことは鮮やかに記憶しているが、成績優良生に与えられる「優等賞」は貰って当たり前のことだったから何も覚えていない・・・ウッヒッヒッ

そんな私だが、ワンパクボスを羨ましく思うことがある。
それは彼らには幾多のケンカで赫々(かくかく)たる戦果を挙げた思い出があり、それが彼の生涯を通じて消えることのない武勲となっているだろうからである。

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コメント

今日の記事、上質のエッセイを拝見した気分になりました。少年時代の鮮烈な思い出を切り取って生き生きと描かれたていて、その場に居合わせたような気分にさせられました。少年の風花さんのお顔も画像で拝見しているのでいっそう想像力が増します。。。♪

昔は生活が今ほど複雑ではなく、したがって子供たちの心境も良い意味で単純明快なものだったのではないでしょうか。卑怯とか弱い者いじめなどを良しとしない、いわば武士道に通じた何かを残していた時代だったかもしれませんね。

腕白坊主、やんちゃ坊主というカラッとした言い方は当てはまらない時代になったと校内事件の記事を見るたびに思います。

投稿: おキヨ | 2013年3月24日 (日) 12時22分

おキヨ様
おっしゃる通り、昔は人間関係が今の時代より単純で分かりやすかったですね。
何が理由で現今のように重層的に、かつ複雑に屈折するようになったのでしょうか?
ことの是非は別にして、確かに武士道の名残があって、それがバックボーンになって、無意識ながら行動の規範になっていたのでしょうか。
今や、いじめでも、家庭内暴力でも、セクハラでも救い難い陰湿さがあって、その無残さは正視できない思いがします。

それにしても「ガキ大将」には憧れますね。
一度、その位置に立って、どんな気分になれるのか、世間がどう見えるのか、そこにはどんな風が吹いているのか、味わってみたかったですね。

投稿: 風花爺さん | 2013年3月24日 (日) 18時23分

素晴らしい随筆ですね。
なぜか4~5年生の時に読んだ「シュワイツェル 私の幼少年時代」を思い出しました。「僕だって、君のように毎日肉のスープが飲めたら負けはしない…」と、相手の少年が言ったことをシュバイツアーが重く受け止めるシーン…それ以外はほとんど忘れているのですが。
多分、ナイーブな少年の心理に共通するものがあったので、私の記憶の引き出しが開いたのでしょう。

「文は人なり」と言う、恐ろしい言葉があって、何気ない文からも書き手についてかなりのことが解ります。風花さまが優秀な方でいらっしゃることも。…ああそれなのに…

>「~それが何よりの証拠には、私はたった一度しか経験していないこのケンカと「ケッコン式」のことは鮮やかに記憶しているが、成績優良生に与えられる「優等賞」は貰って当たり前のことだったから何も覚えていない・・・ウッヒッヒッ」

ここは全くその通りなのでしょうが、さりげない自慢がそこはかとなく可笑しく楽しいですね…。

投稿: 淡雪 | 2013年3月25日 (月) 09時30分

いえいえ、自慢ではなくてイタズラっぽいユーモアですね。
失礼いたしました。

投稿: 淡雪 | 2013年3月25日 (月) 11時52分

淡雪様
引用されたフレーズは、「さりげなく」ではなく、少々手の込んだ、しかしかなり露骨な自慢話になっていますよね。
ほんとうのことを言いますと、この部分は「あらまほし(そうであって欲しい)」という願望が書かせたもので、事実ではありません。
実際は5本の指でも余る程度の表彰しか受けていないので、それぞれはそれなりに記憶にあります。
~イケナイ、これもまた自慢になってしまいかねませんね。
いずれにしてもお騒がせしました。

文は人なり。
確かに文章には人柄、性格、嗜好などが顕著に現れるようで、私などのようなウスッペラはたちどころに化けの皮が剥がれてしまいそうで、怖いです。

この取るに足りないブログをはじめ、人様の目に触れる拙い文章をいつまで書き続けられるのか分かりませんが、それはとりもなおさず、その間は恥や、冷や汗をかきつづけるという仕儀にあいなりますね。

恥や、冷や汗の量は少しでも減らせるように務めましょう。

投稿: 風花爺さん | 2013年3月25日 (月) 15時56分

あらまほしきことをお書きになったとしても、実際に何度も表彰を受けていらっしゃるのですもの。自慢と受け取られようとも、事実なのですからよろしいのでは^^?
決して嫌味ではなく、読んでいて、そのひとひねりはお見事ですし…。風花さまのエッセイを楽しむあまり、つい余計なことを申しまして失礼いたしました。

投稿: 淡雪 | 2013年3月26日 (火) 10時21分

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